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第1回 字幕翻訳をはじめた頃

字幕翻訳者 戸田奈津子 × 字幕翻訳家 菊地浩司

第1回 字幕翻訳をはじめた頃

 

翻訳者が翻訳者にインタビュー。

だからこそ翻訳のことは抜きにして、“戸田奈津子”にせまってみたい。

英語初体験は来日会見

菊地

戸田さんといえば、よくスターが来日したときに隣についているけど、ああいう通訳の仕事はいつから?

 

戸田

一番初めは「アリスのレストラン」(’69)という映画で、プロデューサー、ヒラード・エルキンズが来日した時。アルバイトでお世話になっていた水野晴郎さんに、突然ひっぱりだされたのが始まり。
「あなたやりなさいよ!」って。あの人強引だから(笑)でも人前で英語を話したのが、この記者会見で始めてだったの!
すごく落ち込んで…あまりにもひどい英語だったから。

字幕屋はネクラ!?

第1回 字幕翻訳をはじめた頃

戸田

そしたら次にまた(通訳の仕事を)頼まれたの。「屋根の上のバイオリン弾き」で。英語が下手なのに…。なぜ頼まれたか、あとで分かったんだけど、それは映画を知っていたから。映画の事を知っていたら、英語が話せなくてもある程度通じるじゃない。それから、通訳の仕事がどんどん増えて…。字幕の仕事より通訳が10年先行する結果となったのよ。字幕ができるなら英語が話せて当然って思われてたわけだけど、大きな誤解よね。

 

菊地

そうそう。話すのが好きじゃないから翻訳をしてるのにね(笑)

 

戸田

そうよ。みんな根暗なのにねぇ〜。

昔はよかったね

戸田

やむを得ず通訳を始めることになって、英語も下手だし嫌だったんだけど、そのうちに、いかに来日する方々が素晴らしいかっていうのが分かってきたの。相手はちょっとやそっとじゃ会えないし、世界のトップなんだから。すごい人達に会える事がだんだん刺激的になってきたわけ。

 

菊地

当時からサインとか写真とかもらったりしてた?

 

戸田

もちろん、山のようにあるわよ。整理してないから段ボール箱に。

 

(現場一同「えぇ〜!!」とオドロキ)

 

菊地

すごいね。それはすごい財産だね。記者会見のあとは食事に行ったり?

 

戸田

昔はよく行ったわね。一度日本に来ると、1週間位滞在するのが当たり前だったし。大抵東京に2〜3日、その後大阪で記者会見をして、京都で遊びましょう、というのがパターンだったかな。

 

菊地

一週間!?ずっと付き添うんだよね?

 

戸田

今はありえないけど、のんびりしてたのね。一週間一緒に食事をしたりすると、自然と付き合いが深くなって、リチャード・ギアとかもそうやって仲良なったわけ。

 

菊地

今はどんな感じなの?

 

戸田

時間が全然ないのよ! この前の「スパイダーマン3」の記者会見の時は、1日しか滞在しなかったから私語も交わせないくらい忙しかった。
“Hello, goodbye”ですよ! トム(トム・クルーズ)なんて、この前は10時間しかなかったのよ。慌しくて、ちょっと残念です。

ブラピは“どこにでもいるお兄ちゃん”

菊地

アテンドして辛かったことは?

 

戸田

うーん…あんまりないわね。みんな素敵な人達ばかり。まぁ、1000人会って5人位は、いばってるヤナ奴もいるけれど、1000人会って5人しかいないってすごい確率でしょ?

 

菊地

その5人って?

 

戸田

それは言えないですよ!(笑)

 

菊地

じゃあ、この人はよかった!っていうのは?

 

戸田

みんないい人なのよ。始めはいろんな噂を耳にして緊張することもあったけど、実際会うと全然違うの!私の英語は下手だけど、ありのままの私を見せることにして…。アテンドをする上で大事なのは、目線を同じにすること。スターが来ると、始めはどうしても崇めちゃうけど、それじゃだめ。例えば、ブラッド・ピットも一目見るとカッコいいけど、1時間一緒にいてごらんなさいよ。 “ ちょっと ( ・・・・ ) かっこいい お兄ちゃん ( ・・・・・ ) ”になるんだから(笑)

 

菊地

(笑)なるほどね!

 

戸田

この前、「ホリデイ」で来日したジュード・ロウもそう。映画では暗い役が多いけど、実際はさっぱりして明るいイギリスのナイスガイ。イギリスの人は舞台経験がある方が多くて、地に足がついててとってもいいのよね。とにかくありのままの自分で付き合うことです。

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