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第2回 スターとの“距離感”

フリーライター 佐藤友紀 × 字幕翻訳家 菊地浩司

ジョニーは“お友達”ではありません!

第2回 スターとの“距離感”

菊地

このあいだ戸田さんも言ってたけど、スターを絶対見上げちゃダメ、目線を同じにして話をすると向こうもすごく喜ぶって。

 

佐藤

そうですね。でもそこで誤解しちゃいけないのは、だからと言ってお友達じゃないんですよ。

よく“お友達のジョニー・デップ”とか言われるけど、とんでもない。彼は私の年齢も知らないし、バックグランドも知らない。

だからそこは誤解しちゃいけないんです。ある種どっかクールでいなきゃって思いますよね。

 

菊地

でもプライベートでメールのやり取りとかあるんでしょ?

 

佐藤

私自身がメールしないので(笑)。

でもジョニーが日本に来てた時に、電話番号くれたんですよ。

で、LAに行ったときに留守番電話に、「来てます」って吹き込んだら、グループインタビューがあった時、それが終わった後で、宣伝会社の人が突然、

「ユキサトウって誰? ジョニーがワン・オン・ワン(グループインタビューではなく、1対1のインタビューのこと)やるって言ってんだけどどういうこと?」って。

そこでジョニーが偉いのは、全部自分のスケジュールを終わらせてからやってくれるっていうところ。

そういうことがずっと続いてるわけですけど、「常にやれるのよ!」って思わないようにしてます。

 

菊地

えらい!

ジョニー・デップに最も近い日本人

第2回 スターとの“距離感”

佐藤

ジョニーは元々ミュージシャンで、今も自分のバンドを持ってるんですけど、そういう意味で、体で表現するってことを感覚でわかってると思う。

だからこそ、言葉なんか通じなくても瞬時に、第六感で“信用する・信用しない”を決めるんじゃないかなと思いますね。

彼はスターだから利用したがる人ってたくさん寄ってくるでしょ。

 

菊地

だからこそ、そういう人たちと付き合うには、どこかきちんとした大人の付き合いをしないとっていうのが、佐藤さんのポリシーなんだ?

 

佐藤

カッコよく言うとそうなんだけど、私けっこう怠け者なので、できないんですよ、盆暮れの挨拶とか、クリスマスカードとか(笑)。

でも、逆にそれでいいんだと思います。少しだらしないくらいで。

男の友情ってそうじゃないですか。半年とか1年経ってても、すぐ元に戻れるみたいな。

あーいう感じがいいのかも知れませんね。

 

菊地

それが“距離感”なのかな

 

佐藤:

まさにそうだと思いますよ。

間口は広い方がいい

菊地

佐藤さんはバレエや映画と、いろんな分野に精通してらっしゃるけど、インタビューの仕事は映画が専門なんですか?

 

佐藤

専門ってことになると、私は弱いらしいです。

日本は特に“専門”ていうのが好きだから、それで仕事を失っていることも多いらしいけど(笑)。

私は映画が先で、映画が好きになって、映画スターを好きになって、その映画スターを生で見られる舞台ってすごい! っていう流れですね。今だに「出待ち」とか必ずするし…。

 

菊地

そんなことするの!?

 

佐藤

もちろん! そこまで終わらせないと、終わらないですよ。イベントが自分の中で(笑)。

でも面白いのは特に欧米で出待ちしてると、私たちの方が外人だから、目立つらしくて、そのあと2年後とかにインタビューする機会があると、「君どっかで会ったよね?」って言われたりします(笑)。

ヒュー・ジャックマンの時もそう。『オクラホマ!』(※1)っていう舞台をロンドンで見た時に、楽屋口に行ってサインをもらったんです。外国は楽屋口に行く人が少ないから。

そのあと彼がだんだんスターになったときに、インタビューで、「ロンドンの舞台見てたの?」って話になって。

日本は遠いイメージがあるみたいなんですけど、そこで「お芝居見た」っていうと、ものすごく点数上がるんですよね。自分の舞台をわざわざ見に来たのかって。

インタビューの時、外国人の方に比較的評価してもらえる所があるとしたら、日本人のくせにこんなところまで知ってるのか、ってところだと思いますよ。

 

菊地

なるほどね。じゃあ間口は広い方がいいわけだ?

 

佐藤

そうね。たとえば田中泯(※2)さんも、映画しか知らない人は『たそがれ清兵衛』からなわけですが、そこに至るまでは舞踏家としての長い歴史があるわけですよ。

 

菊地

バレエとか演劇とか映画とか、各々別の表現だと思ってたけど、ある意味リンクしてるってことなのか…。

 

佐藤

そうですね。どこで何が役に立つかわからない。映画だけ観て映画のことだけを書くのももちろん、それはそれでいいんですけど、やっぱり間口は広い方がいいですね。

用語解説

※1―――舞台『オクラホマ!』Oklahoma!

1943年初演のブロードウェーミュージカル。日本でも宝塚歌劇などで上演されている。

 

※2―――田中泯(1945〜)

東京生まれの舞踊家。山田洋次監督、真田広之主演『たそがれ清兵衛』(2002)で映画初出演を果たし、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞と新人賞を受賞。以来、独特の存在感が脚光を浴び、映画『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)、NHK連続テレビドラマ『ハゲタカ』に出演するなど、役者としての活動の幅を広げている。

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