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第2回 20代、約1年も海で大冒険

冒険写真家 前田泰治郎 + フリーライター 鈴木ひとみ

20代、約1年も海で大冒険

鈴木

山の話、本当に前田さんならではですね。次は海…海の話も聞かせてください。こちらでも世界中がフィールドというかポイントだと思いますが、ダイビングでおもしろかった場所ってありますか?

 

前田

ご想像どおりダイビングでも極地に行っていますが、南極も北極もちょっと寒いよね(笑)。どちらが好きかと言えば、南極海かな。ペンギンやら動物がたくさんいるから潜っても楽しいですよ。それこそタマちゃんが覗きに来るよ。
北極海にいるのはロシアの原潜ぐらいかな(笑)。あと沖縄の海はやっぱり綺麗ですよね。慶良間諸島、座間味。それと、魚が圧巻なのはパラオじゃないかな? ブルーホールとか。人を襲うサメもいますし、ハンマーヘッドシャークとかは本当にすごいですよ。何十匹って群れでいますよ。

 

鈴木

そういう海の場合、サメが来ないっていう確信があって、ダイビングされているんですか?

 

前田

サメも闇雲に襲うってことはないからそんなに危険じゃない。小魚の群がいるみたいに水面でチャパチャしてなければ平気なんです。あと、血のにおいがヤバイ。サメと一緒のペースで水中で泳いでいる分には大丈夫です。でも向こうがおなかをすかしてるんじゃないかと思うと嫌だけどね(笑)。「潜りあま」に聞くと「喰いがたつ」っていうらしいけど、僕らはサメの状態まではよく分らないですね。こわいのは夕方のサメの食事時間かな。小魚がたくさん移動するのを追いかけるからね。

 

鈴木

うわ〜鳥肌立ちそう! 他には?

 

前田

ガラパコスにヨットで行ったときですね。そのとき僕は水中撮影と食料調達係りだったんだけど、
ヨットからゾディアック(ゴムボート)にひとりで乗って、スネークマッケレルっていう胴の太さが50センチくらいあるようなでかいさばの一種を撮影しましてね。そんなのが5、6匹群れて泳いでいるんですけどね。それで撮影を終えてから、今度は食料調達係りとしてね、岩かげでその魚を捕るために水中銃を持って待ってたんですよ。そしたら興味深いらしく、鉄砲のモリ先に寄って来るんだよ。あんまり大きい魚だと海底に引き込まれてヤバイから、小さいのを狙ったんだけど、大きいのに当たっちゃってね。下に下に持ってかれちゃったんですよ。水深40メートル近くまでどんど海底深く持ってかれちゃって。

 

やっぱり諦めも必要だよね。水中銃を離して…。その魚は多分30キロくらあったと思います。上手な人は、打っといて、ひもを長くしておいてしばらく泳がせて疲れさせる。リールで巻いては流しての繰り返しで相手を疲れさせるんだけどね。普段は危ないから大きいの打たないけどたまたま当たっちゃったの(笑)。

 

鈴木

その日の晩ご飯は?

 

前田

みんなに文句言われたよ。「そんな調子のいい話は信じられない。どっかで昼寝してたんろー」ってね(笑)。

島から島を経て日本に戻る

鈴木

いま話してくださった航海はどこからのクルーズだったんですか?

 

前田

イギリスからシナーラっていう、キャビンがローズウッドのすごい豪華な帆船を日本まで持って来たんです。今は三浦半島の三崎にあるシーボニアマリーナにあるんだけれど。そこの開港のときに番組を作ったんです。そのときは約1年間の仕事でした。ヨットのヨの字も知らなかった26歳くらいのときだったかな。もし結婚なんてしてたら別れてましたね(笑)。

 

鈴木

壮大な海の冒険…すごい話ですね。1年間の航海はどんな旅だったのでしょう?

 

前田

クルーが全部で8人でそのうち日本人が5人。最初、イングランド南部のササンプトンを出てビスケー湾に入って、そこから南下してスペイン領のカナリア諸島まで行きました。そこまでで10日間。

 

そこでリフュール(燃料補給)して食料調達などもして、まっすぐ大西洋の真ん中に浮かぶ火山島ケイプベルディを目指し7日くらいで到着。そこからカリブ海のトリニタードトバコまで行きました。そこでは、番組のためにカリブ海を回って、カーニバルなんかも撮影して、その後はパナマ運河を通ってガラパコス島に寄り、約1ヶ月滞在して各島を取材しました。

 

その後2週間くらいかかってタヒチのすぐ近くのフランス領ポリネシアのヌクヒバ島に行ったんです。その島でイギリス人キャプテンのマイクが2日後に牛を殺すっていう情報を仕入れてきちゃって。僕らは早く帰りたかったんだけれど、4日間も待ちました。しっかりステーキで食べましたけどね(笑)。

 

その後日本に向けて北上。タヒチからカントンというアメリカの基地に寄りました。そこでは食べ物をもらったり基地の食堂で飯食わせてもらって。バドワイザーは免税でしこたま飲みました。基地内の売店にアクアラングというメーカーのレギュレーターのいいのがあってついつい買ってました(笑)。次にさらに北上して昔水爆実験をやったエニウェトックという島に寄りました。

 

鈴木

どうしてですか?

 

前田

キャプテンが盲腸になっちゃったんで。ステーキ食いすぎたのかな(笑)。キャプテンが復帰して、次はマーシャル諸島の少し手前のギルバート諸島にある第二次大戦の激戦地だったタラワ島へ行きました。そのころにはヨットの外板がかなり傷んで浸水し始めました。汐がとまっているときにタンクを背負って潜ってね、応急修理をしながら走ったんだけど、どんどん漏ってくるの。で、緊急入港して修理したんです。その島にはまだゼロ戦なんか落っこちてましたよ。そのあと小笠原に入ってそのまま三崎です。そこまで10ヶ月ちょっとかかりました。

 

鈴木

それはサラリーマン時代、社員で行かれていたんですよね?

 

前田

そうですね。サラリーマンだったんです。「金、貯まっていいね」なんて言われたけれど。その時代は携帯もないし、船にあった旧式無線機は200キロくらいしか届かなかったんです。豪華だけど、昔の大きな帆船ですからね。まだ冷蔵庫もなく、レーダーもGPSもない。星を天測しながらの航海です。

 

鈴木

それは、また大変でしたね。沈没したりして漂流したりという事態にならなくて良かったですね。海の大冒険ですね。

 

鈴木

仕事とはいえ20代で、ものすごい経験をなさったんですね。そんな前田さんが今、遊びで行かれるとしたら、カリブと南大平洋はどっちが楽しいですか?

 

前田

カリブですね。ある程度お金があれば楽しいでしょうね。南太平洋ならタヒチかランギロアか。地中海クラブとかのリゾートもいっぱいありますね。

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