●フリーライター 佐藤友紀
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●字幕翻訳家 菊地浩司
●フリーライター 佐藤友紀 第2回 スターとの“距離感”
2007.09.09
【ジョニーは“お友達”ではありません!】
佐藤さんの手帳には、数々のスターのサインが
菊地:
このあいだ戸田さんも言ってたけど、スターを絶対見上げちゃダメ、
目線を同じにして話をすると向こうもすごく喜ぶって。
佐藤:
そうですね。でもそこで誤解しちゃいけないのは、だからと言ってお友達じゃないんですよ。
よく“お友達のジョニー・デップ”とか言われるけど、とんでもない。彼は私の年齢も知らないし、バックグランドも知らない。
だからそこは誤解しちゃいけないんです。ある種どっかクールでいなきゃって思いますよね。
菊地:
でもプライベートでメールのやり取りとかあるんでしょ?
佐藤:
私自身がメールしないので(笑)。
でもジョニーが日本に来てた時に、電話番号くれたんですよ。
で、LAに行ったときに留守番電話に、「来てます」って吹き込んだら、グループインタビューがあった時、それが終わった後で、宣伝会社の人が突然、
「ユキサトウって誰? ジョニーがワン・オン・ワン(グループインタビューではなく、1対1のインタビューのこと)やるって言ってんだけどどういうこと?」って。
そこでジョニーが偉いのは、全部自分のスケジュールを終わらせてからやってくれるっていうところ。
そういうことがずっと続いてるわけですけど、「常にやれるのよ!」って思わないようにしてます。
菊地:
えらい!
佐藤:
ジョニーは元々ミュージシャンで、今も自分のバンドを持ってるんですけど、そういう意味で、体で表現するってことを感覚でわかってると思う。
だからこそ、言葉なんか通じなくても瞬時に、第六感で“信用する・信用しない”を決めるんじゃないかなと思いますね。
彼はスターだから利用したがる人ってたくさん寄ってくるでしょ。
菊地:
だからこそ、そういう人たちと付き合うには、どこかきちんとした大人の付き合いをしないとっていうのが、佐藤さんのポリシーなんだ?
佐藤:
カッコよく言うとそうなんだけど、私けっこう怠け者なので、できないんですよ、盆暮れの挨拶とか、クリスマスカードとか(笑)。
でも、逆にそれでいいんだと思います。少しだらしないくらいで。
男の友情ってそうじゃないですか。半年とか1年経ってても、すぐ元に戻れるみたいな。
あーいう感じがいいのかも知れませんね。
菊地:
それが“距離感”なのかな
佐藤:
まさにそうだと思いますよ。
【間口は広い方がいい】
菊地:
佐藤さんはバレエや映画と、いろんな分野に精通してらっしゃるけど、インタビューの仕事は映画が専門なんですか?
佐藤:
専門ってことになると、私は弱いらしいです。
日本は特に“専門”ていうのが好きだから、それで仕事を失っていることも多いらしいけど(笑)。
私は映画が先で、映画が好きになって、映画スターを好きになって、その映画スターを生で見られる舞台ってすごい! っていう流れですね。
今だに「出待ち」とか必ずするし…。
菊地:
そんなことするの!?
佐藤:
もちろん! そこまで終わらせないと、終わらないですよ。イベントが自分の中で(笑)。
でも面白いのは特に欧米で出待ちしてると、私たちの方が外人だから、目立つらしくて、そのあと2年後とかにインタビューする機会があると、「君どっかで会ったよね?」って言われたりします(笑)。
ヒュー・ジャックマンの時もそう。『オクラホマ!』(※1)っていう舞台をロンドンで見た時に、楽屋口に行ってサインをもらったんです。外国は楽屋口に行く人が少ないから。
そのあと彼がだんだんスターになったときに、インタビューで、「ロンドンの舞台見てたの?」って話になって。
日本は遠いイメージがあるみたいなんですけど、そこで「お芝居見た」っていうと、ものすごく点数上がるんですよね。自分の舞台をわざわざ見に来たのかって。
インタビューの時、外国人の方に比較的評価してもらえる所があるとしたら、日本人のくせにこんなところまで知ってるのか、ってところだと思いますよ。
菊地:
なるほどね。じゃあ間口は広い方がいいわけだ?
佐藤:
そうね。たとえば田中泯(※2)さんも、映画しか知らない人は『たそがれ清兵衛』からなわけですが、そこに至るまでは舞踏家としての長い歴史があるわけですよ。
菊地:
バレエとか演劇とか映画とか、各々別の表現だと思ってたけど、ある意味リンクしてるってことなのか…。
佐藤:
そうですね。どこで何が役に立つかわからない。映画だけ観て映画のことだけを書くのももちろん、それはそれでいいんですけど、やっぱり間口は広い方がいいですね。
(第3回に続く)
----------------------用語解説----------------------
※1―――舞台『オクラホマ!』Oklahoma!
1943年初演のブロードウェーミュージカル。日本でも宝塚歌劇などで上演されている。
※2―――田中泯(1945〜)
東京生まれの舞踊家。山田洋次監督、真田広之主演『たそがれ清兵衛』(2002)で映画初出演を果たし、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞と新人賞を受賞。以来、独特の存在感が脚光を浴び、映画『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)、NHK連続テレビドラマ『ハゲタカ』に出演するなど、役者としての活動の幅を広げている。














